どーでもいいBL小説部屋

創作BL小説を挿絵付きで書いています
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The thought exceeding a time #6





午後の静かな図書館
俺は目の前にいる女性に目を奪われていた


目の前にいるのは紛れもなく母さんだ

そう・・・・


ずっと会いたくて・・・・会いたくてしかたなかった母さんが目の前にいる・・・

俺はとまどっていた
母さんとこうして会えて嬉しいのに、母さんの美貌に目を奪われていたからだった

小説絵3挿絵6



母さん「あの・・・・勝手に座るね」
栖「・・・あ・・・・」

母さんがいぶかしげな表情で俺を見たのち、椅子を引いて座った

僕はただただ目の前の美少女を口を半開きにして凝視していた


ゆっくりと時間が過ぎていった
とにかく綺麗、だった 
それはまるで漫画の中からそのまま出てきたみたいだった

少年漫画に出てくる、そう、マドンナ的な理想の女の子・・・なんだろうな

俺は初めて女の子にドキドキした瞬間だった
なんだろうこの気持ち

俺はおかしいのだろうか・・・・・・

母さん「・・・・あのさ・・・なんでそんな見るの」


僕はハッとなった
時間が止まったような感覚に囚われたけれど、多分相当な時間見ていた・・・と思う

栖「あのさ!・・・えっと・・・・父さん・・じゃなくって博己・・木下博己って知ってる!??・・友達なんだけどさっ」

俺ってほんととっさにこんなテキトーな事言えるな・・と自分で思った

母さん「・・・!ああ・・・うん、木下くん・・・私マネージャーやってるから、テニス部の」

母さんは一度目を大きくした後、穏やかな表情になった

これは・・・・・
鈍感な俺でもピンときたのだった

父さんのこと・・・・好きなんだなって、事

俺、自分のことだと全く鈍感なのに、人の事はわかるみたいだ
なんだろう、なんでちょっと落ち込んでるんだろうか、俺

母さんとお父さんが結ばれなければ・・俺、この世にいないというのに

母さんとお父さんが大好きというのには変わりないのだ
そう、なんだ

母さん「ね、木下くんの友達・・なんだよね?何組?ウチの学校10クラスもあるし全然生徒おぼえられないよね~」
栖「10クラスとかありえねーし・・・。・・・あ、俺この学校の生徒じゃないから・・・」
母さん「そうなんだ。えと・・名前なんて言うの」
栖「あ~~~・・空・・だよ、うん、テキトーに呼んで」
母さん「うん。私は箕輪杏子、よろしく」

最後ににこっと微笑んで、読書したいから、と母さんは本に目をやって自分の世界に入り込んでしまった

杏子ちゃん・・・・ とか自分の母さんを呼ぶことになるのかな?
なんかこっぱずかしいや・・・・と俺は窓の外に目をやった

コバルトブルーの綺麗な青空と緑で綺麗な木々が穏やかな風にゆれていた

平和だな・・・とか思ったのもつかの間、ここは22年前なのだった
全然・・・おれにとっては平和ではないことは確かなのだった



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あのあと1時間くらい図書館でゆっくりした後俺達は別れたのだった

きっと・・・お父さんの近くにいたら・・・・母さんとはまたすぐに会えそうな気がした
だから俺はあっさりと別れたのだった。・・少し・・名残惜しかったけど・・・


そこで俺は大事な事に気がついた  

図書館で神戸さんと夕方4時に門の前で待ち合わせしてるんだった!!!!

栖「やっべえーーーーーー!!また迷惑かけちまう!!」

時計を見ると30分は過ぎていた
俺はダッシュで門まで走ったのだった。途中、図書館の人に「走らないで下さい」と言う声もはねのけ全速力で走ったのだった

門には神戸さんが壁にもたれかけ腕を組んでいた

俺は呼吸を整え、ゆっくり近づいた
そして神戸さんが俺に近づいて目を一瞬細めてコツン、と俺の頭をこづいた

栖「あ・・・あの・・・ごめんなさい・・・読書に一生懸命になっちゃって・・あの」
神戸「お前さあ、遅れた上にそういう嘘までつくの?俺の事バカにしてる・・?」

神戸さんの真剣な表情・・・
神戸「嘘つくならもっとマシな嘘つくんだな。めっちゃ可愛い女の子と楽しそ~~にしてたけど?」
栖「!!!!・・・・すいません・・・!!!ほんと、次は気をつけ・・ます」

神戸さんは目をふせ、ふーーっとため息をついて髪の毛をかき上げた

神戸「次こういうテキトーな事やったらお前のこともう信じねーからな??追い出すぞー!いいな?」
栖「はい・・・・・・」

俺はしゅんと下にうつむいた

神戸「はい、これで終わり!ところでさっきの子可愛いな。惚れちゃったん?ん?」

さっきとは打って変わった表情の神戸さんが俺をニヤニヤ横目で見た

栖「あの子・・俺の母さん」
神戸「へーーーー・・・ってハアア・・・!!???・・えっと・・・あ・・そうかお前未来から来たんだもんな・・・でも信じられねえな、うん。あれだろ?今はクソババアとか言ってお母さんのことひどい扱いしてんだろ?俺も中学ん時とかそんなだったし」


クソババア・・・・だなんて微塵も思った事、なかった
俺が小さい頃に亡くなった母さん。今も生きていたら、学校の友だちが言うみたいに、うぜえ、とかババアとか言ってたんだろうか・・・・

栖「いや、母さん俺がちっちゃい頃に病気で死んだから・・・よくわからない」
神戸「・・・そうか・・・それは悪いこと言っちまったな・・・。じゃあ・・・帰るか」

そして俺達は図書館を後にしたのだった



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日、俺はお父さんとの約束の場所へ15分も前に着いた

栖「えっと・・・ここで待ってるか・・」
博己「よっ・・・・・!空、待ってた」

俺はその声に驚いて後ろを振り返ると、すでにお父さんが立っていた

栖「早いね」
博己「お前こそ。なんか考えてること同じみたいだな俺たち」

お父さんははにかんだ

そうなんだ・・・、この時が待ち遠しくて、早く着きすぎてしまったのだった
お父さんも・・・自分と同じ気持ちでいてくれてることが心から嬉しかった

学生服を着ているお父さん
なんだろうこの気持ちは・・・・憧れ・・・・なのかな

俺も、こんな人になりたいなっていう気持ち・・・そして他に不思議な気持ちもあるような気がした

俺は目をそらし、この気持を追い払うかのように声を張った

栖「あ、のさ!昨日、・・・・箕輪さん・・に偶然会ったよ!可愛かった~~」

俺は、何言ってるんだろう、言ってしまってからしまった、と思った

博己「ああ・・マネージャーね。まあ、俺のクラスのやつとか部活の奴らもけっこーねらってるしね」
栖「・・へぇ~~ふーん」

俺はしらじらしく返事をした
お父さんの態度が変わったのがわかった。お互い・・・意識しあってるというか・・・好きなんだな・・・と。
自分の両親なのに、なんでこんな落ち込んでいるのか俺には自分でわからなかった

博己「女の話なんてつまんねーし、早く遊ぼうぜ!!サッカーしようぜ」

お父さんは無理してるように、見えた

栖「安心して、俺、箕輪さんのこと、女の子としてなんとも思ってないから。それだけはいっとくよ、うん」
博己「・・・・・別に、そんな事気にしてねーし、俺。お前、なんかすげーな」
栖「・・・・・?」

何をもってすごいと思ったのかさっぱりわからなかったけど適当に相槌打っていた俺だった

博己「なんか誤解してるみたいだけど、俺、今女とか興味ない。部活が一番楽しいし、女なんかの話とか情けね~しやめようよ、この話。」
栖「はあ・・・・・・・」

お父さんは純情・・・・というより、硬派・・なんだろうか
本当にこういう話は興味ないんだろうな、とわかった

しかし・・興味ないとか言い切ってるお父さんを見て、俺はあせっても、いた
こんなんで本当にお父さんと母さんはくっつくのだろうか、と心配していた俺だった

博己「んじゃ、ボールあるし、ちょっとサッカーやろうぜ!テニスのが本当はいいけど、お前まさかできないよなあ」
栖「出来るよ、俺。小1からテニス通ってるから。打ち合い、する?」
博己「まじで!!?やるやるーー!んじゃいこーぜ!コート」

お父さんが最大級の笑顔をした

お父さんは俺の手を引っ張って、校庭へかけ出したのだった




つづく





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The thought exceeding a time #5





博巳「・・・で、ウチの学校のやつじゃないよね?」
栖「うん。でもお父さ・・・・博巳と同じ中1だよ、細かい事は言えねーけど・・悪い」
博巳「ふーん・・・・、なんかワケありっぽいな。うん、これ以上きかねーから」

そう言ってお父さんはニコっと笑った


校舎裏、陽だまりに包まれながら俺たちは体育座りしながら会話している
同い年のお父さんと肩並べながら・・・・不思議な気持ちだ

グラウンドからは生徒の声が聞こえる

もっとお父さんと話したい
もっと仲良くなりたい

そう思った

家族なのに、お父さんなのに仲良くなりたい・・・
だなんてちょっとおかしいけど、もっとお父さんを知りたい、そう思った


栖「博巳・・・はさ、夢・・・とかあんの?」
博巳「えー、なんだよ、突然。・・・・んー・・・プロテニスプレイヤーになりたいんだけど、親が現実的じゃない!って言われてるなー、はは。だからそーだな~、金持ちになりたい!!社長とかカッコいいよな!ま、これも親にバカにされたけど」

プロテニスプレイヤー・・・・
お父さんの子供の頃の夢をこうして聞いてとても新鮮な気持ちになった

そして社長・・・・・

お父さんは社長としてバリバリ稼いで働いて、自分で言うのもなんだけど普通よりは裕福な家庭だと思う
お父さんは有言実行したんだ、本当にそうなったんだ・・・・

栖「お前ならきっと社長になれるよ。お金持ちになれるよ、絶対」
博巳「えーーー、ありえないよやっぱ。俺、積極的じゃないし行動力ないし絶対ないなー」
栖「俺が保障する。お前は絶対夢かなうから」
博巳「・・・・・・サンキュー。なんかお前に言われるとホントそんな気がしてきた」
栖「へへっ・・・・」


小説3挿絵5



この時間が止まればいいのに
ずっとこうやってお父さんと話してたい

もしかしたら今この瞬間が、人生で一番楽しいかもしれない
そう感じていた

博巳「あ、悪い、そろそろ戻らないと」

お父さんが立ち上がった

博巳「また、話そうな!」
栖「あのっ・・・・次いつ会える?」
博巳「今日は委員会あるから、明日の放課後ならいいよ。そうだなー3時くらいかな」
栖「んじゃ明日3時にまたここで待ってるから、俺!」
博巳「・・・・ああ!それじゃ!また明日な」

そしてまた颯爽とグラウンドへ戻っていった


また・・・・また明日もお父さんと会える
俺は心がいまにも躍りそうだった

そして俺は立ち上がり、学校を後にしたのだった


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


主婦A「や~ね~、4月から消費税が導入してからもう細かいお金ふえちゃって」
主婦B「ホントよねぇ。千円で30円も取られるとかありえないわー!」
主婦C「ねえ~~~、家計簿の記入がめんどくさいったらないわよ」


アパートに戻る途中に主婦たちがそんな愚痴を言いながら井戸端会議していた

そっか・・・この年に消費税ができたのか
今なんて3%どころか5%も取られてるというのに。
そしたらまたこの人たちはまた同じような愚痴言うんだろうな
なんか、笑えた

子供の俺にはイマイチこの消費税の重さはわからないけれど。


神戸「お~い・・・・」
栖「・・・・・・!?あれ、神戸さん!?大学は」

アパートの前で神戸さんが腕を組んで立っていた

神戸「あれ、じゃねーって!今日は2限までなんだよ。出かける時はちゃんと言えって!合鍵まだ作ってねえんだから。勝手に出かけられると困るんだけど」
栖「ごめん!・・ごめんなさい!!俺、いてもたってもいられなくて」
神戸「・・・・まあ・・・次から頼むぜ。んじゃ弁当買ってきたから飯にしよーぜ」
栖「うん・・・!」

携帯があったらこういう事も一言メールして伝えておけるのに
なんて不便な時代なんだろう
携帯がない生活なんて絶対考えられない

神戸「ふ~~、腹減った」
栖「いただきまーす」

小さいテーブルを囲んで俺たちは勢いよく弁当を食べる

こうやって見ず知らずのガキの俺にご飯まで与えてくれてなんていいお兄さんなんだろう
俺、いつか恩返ししたいと本気で思ったのだった
いや、絶対いつか間接的にでもお礼をいようと誓った俺だった

神戸「なあ、お前24年後の未来から来たんだろ?日本どうなってんの?関東大震災が来る来るすっげー言われてて俺、マジ地震苦手だからそれだけでここ離れたいくらいなんだぜ、情けねーけど」
栖「あ、大丈夫っす。未だ来てないよ!ただ・・・他の地域では大きい地震いくつかあったけど・・・」
神戸「そっか・・・・あんまり聞くの怖いからこの辺でやめとくわ。天災だけはどーにもなんないしな・・・」
栖「・・・・・・」
神戸「てか24年後って事は・・・俺、45・・・・・!??うわあ・・・オヤジじゃねーか」

そっか・・・・・今若くてそこそこかっこいい神戸さんでも、
45歳ならメタボな残念なオッサンになってるかもしれないんだ

改めて、24年の年月ってすごいなと思った俺だった

神戸「俺、弁護士として立派になってるといいなあ・・・・。険しい道だけど」
栖「弁護士!すごい!!なってるといいね」
神戸「はあ・・・・てなわけで今から図書館行って勉強してくるわ」
栖「俺も一緒に行っていい!?神戸さんの邪魔は絶対しないから!」
神戸「おう、そうだな。ここじゃなんもないしつまんねーもんな、んじゃ行くか」

そして俺たちはアパートを出て図書館へ向かったのだった



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


図書館に来たのはいいけれど、普段真面目な本なんて読んだことないのでどうしていいかわからなかった
しかしじっとしていられない性格の俺は、
何か少しでも未来へ帰れるきっかけというかヒントになるものが
もしかしたらあるかもしれない、そう思ったので来たのだった


よく思いかえしてみることにした

タイムワープしたあの夜、俺はお父さんの部屋でアルバムを見ていた
そして地震がきたと思ったら、ペンダントが光りだして俺は吸い込まれたーーーーー

という事は、だ

またアルバム見て地震がきてペンダントが光ったら俺は未来に戻れるのではないか

栖「・・・・・・・」

いや、でも都合よく地震なんて来るわけないし、アルバムなんて何を見ればいいのかわからない

そして大切にしているこのペンダント
このペンダントは2年前にお父さんからもらったものだった

俺は何故だかわからないが、このペンダントが鍵になるんではないかと確信した


そんなことを頭でぐるぐる考えながら俺は椅子に座った
時計を見ると2時半を過ぎていた


ガタ

栖「・・・・ん?」
女の子「あ・・・隣・・・座っていい・・・?」
栖「・・・・・・!?」

息が止まった


目の前にいるめちゃくちゃ綺麗で可愛い女の子

それはまぎれもなく


アルバムで見た母さんそのものだったーーーーーーーーーーーーーー





つづく


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The thought exceeding a time #4





ピピピピピピピピピピピピ・・・・・

眩い光と電子音が俺の目を覚まさした
俺は無造作にスイッチを押した

栖「ん・・・・・・・」

俺は起き上がった


栖「あ・・・・・・そっか・・・神戸さんは大学行ったんだ」

目をこすりながら俺は勝手に冷蔵庫を開けてコーラを取り出しコップにそそぐ
そして一気に飲みほす

そう・・・・・

俺は今、神戸さんの一人暮らししているアパートにいる
無一文で、しかもまだ中学生の俺を居候させてくれた。
最初は信じてくれなかったけれど、真剣に話したら一応理解はしてくれた
俺は24年後の未来から来たんだってことを・・・・

感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいになったけど、ここにすがるしかなかった
働くこともできない、なにもできない無力の中学生の俺・・・・
今ほど大人になりたい、と思った事は今まであっただろうか

栖「・・・まっ・・・俺は俺のできる事すっかー!」

このテキトーな性格と前向きなところは自分でもたまに大丈夫か、と思うほどである・・・


軽く身支度・・・といっても歯磨きと洗顔だけして俺はもらった鍵をもって外に出た

じっとしていても仕方ないんだ
なにか行動おこさなくちゃ前には進めないから

いつもお父さんが教えてくれたことだった


栖「お父さん・・・・・必死にさがしてるのかな・・・」

一気にあたりが真っ暗になる
このままお父さんに一生会えないかもしれない

そう考えただけで立ちくらみそうになる

俺は頭を勢いよく振った

栖「だめだ・・!!今はこの状況をどうするか考えないと!」

穏やかな気候と閑静な住宅街
田舎過ぎず、都会でもない・・・そんな感じが、した

自分の住んでいるところは相模大野だから電車ですぐだ
神戸さんから何かあった時の為に1000円だけもらったのだった

このお金で自分の住んでるとこに行ける・・・・
だけどここは24年も前の日本・・・行っても仕方ない
それよりもせっかくもらったこのお金を大事にもっておかなくちゃ・・・そう思った

栖「1000円か・・・・ゲーセンで5回ゲームしたらあっという間に飛ぶな・・・」

俺のおこずかいは毎月1万円なので正直少なくて肩おとしそうになったけれど
文句はいってられなかった


俺は歩きながらすれ違う人を見た

気のせいだろうか、みんな生き生きして、見えた
自分がこんな状況だからまわりの人がうらやましくみえるのか
今の時代と違って活気があって日本・・町自体が明るいのだろうか

いまいちよくわからなかった

そんなことを考えながら歩いていると中学校が見えてきた

生徒「おーーーーい!ボールそっち行ったぞー!」

生徒の声がグラウンドに響く


俺は金網に手をかけた
はたからみたらどう見ても怪しい奴だった

俺も混ざりたい。一緒にドッジボールしたい、ただそれだけだった

栖「俺・・・・なにやってんだろ・・・」

そう言って肩をがっくり落とした俺の前に足が見えた
俺は顔を上げた


生徒「・・・・・・・・」
栖「・・・・・・・・あっ・・・おっ俺別に怪しいものじゃなくて、その・・イヤ・・怪しいけど!」

俺が慌てふためいていると、目の前のそいつが目を丸くし、直後に噴出した

生徒「ぶっ・・・・・・!お前怪しい!!・・でも悪い奴じゃなさそーだな」

そう言ってけたけた笑った
くったくのないさわやかな笑顔、見覚えのある・・・・

上着のネームを見た

木下 と刺繍してあった


生徒「ちょっとこの横の校舎裏で待ってて、俺、仮病使って保健室行ったことにするから」
栖「え・・・・あ・・へい・・・」
生徒「あははっ!なにその顔!!んじゃ待ってろよ!」

そう言って颯爽とグラウンドに駆けていった

栖「足・・・はや・・・・・、あ・・・何言ってんだろ俺」

そして俺は身をかがめながら校舎裏に移動したのだった



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


生徒「待った?ごめん。ところでなんかお前カッコいいなー」
栖「えっと・・・名前・・・は木下?下の名前は・・・」
生徒「え?博巳だよ、お前は?」
栖「・・・・・・・・・」

お父さん・・・・・!!
間違いなく中学生のお父さんだ・・・・・・!

アルバムで見た印象とはどこか違っていたけれど、
若いころのお父さんが目の前に、いる

俺よりも背が高くて、さわやかでカッコいい
さすがお父さんだった

博巳「なんだよ・・・そんな見るなよ、気持ちわりぃーー!変な奴だなー」

お父さんがそっぽを向いて笑った
お父さんもこんな言葉使い、するんだ・・・

博巳「んでお前の名前は?」
栖「えっ。。。あーー・・う~~んと」

俺は上を見上げた

栖「あー・・・うん、ソラ!!空だよ空、うん!」
博巳「へ~~・・・なんかカッコいい名前だなー、空か。お前とはすっげー気が合いそうな気がする」
栖「・・・・えっ・・」

お父さん・・・・・


小説3挿絵4


博巳「それになんか俺達似てる気がするし」

それは

俺があなたの子供だからです


とは口が裂けても言ってはいけない、そう思った
第一信じてくれないだろうし、もしこの事実を伝えて
お父さんの人生が変わってしまったら・・・・

俺が存在しなくなってしまったら・・・・

そう考えたら絶対に言ってはいけない気がした


しかし今は

とても嬉しい気持ちで胸いっぱいになっていた


目の前に、大好きなお父さんがいる


それだけで、よかった




つづく



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The thought exceeding a time #3




「・・・・・・おい!ちょっと!君、大丈夫?おい!」
栖「・・・・んっ・・・・?・・・・」


目を開けると知らないお兄さんが俺の肩をゆすっている
俺は身体を起こした

栖「あれ・・・俺、なんで・・・ここ、どこ」
男性「・・・大丈夫?見たところどこも外傷もないから事故ではなさそうだけどさ」

何か・・・何か、おかしい

俺はあたりを見回して直感的にそう、思った

小説3挿絵3

確か・・・・俺はお父さんの部屋でアルバム見てたら結構大きな地震があって・・それからーーー

男性「あんた、そこの中学生とかか?こんな時間に中学生が一人で歩いてたらだめじゃん」
栖「いえ・・俺、家にいてそれで、地震あって、だけど光に包まれてそれで・・・」
男性「・・・・・なんかどっか打った?地震なんてなかったよ。家、どこ?途中まで送るし」
栖「ここ・・・どの辺ですか。こんなとこ、俺知らない・・」

辺りは暗かったけれど、自分のしらない場所だということはわかった
目の前にいるお兄さんにも何か違和感を、感じた

男性「・・・俺は神戸幸典、大学生。なんかアンタ、ボケボケみたいだし、ちょっとそこのファミレスでも食べていこーぜ!俺、おごるよ、バイト代入ったばっかだし。飯食って元気になればなんとかなるだろー」

神戸・・・さん、気さくで親切なお兄さんだ
だけど・・・何だろう、ファッションはダサかった

栖「あ、はい・・・ありがとうございます・・・」
神戸「よっしゃ!んじゃいこーぜ!!」

ご飯は食べたばかりでお腹はすいていなかったけれど、喉はカラカラに乾いていた

俺は神戸さんの後をついていったのだった



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

店内は人でいっぱいだった
なんだろう・・・あきらかに、何か違う

神戸「お前、洒落た服着てんな。わけーのにすげーよ」

そんな事初めて言われた
友達はもっとセンスあるし流行を追っていたし、
俺はそういうのにはまだまだ全然疎いからだった

神戸「俺もセンスは悪くないはずなんだけどな・・・」

神戸さんは大口開けてカツ定食をたべながら器用に話す

栖「そうだ!!携帯・・・携帯どこだっけ」

俺はズボンのポケットの中に手をつっこんだ
しかし携帯はなかった

クソ・・・・充電器にさしたままだった・・・・

神戸「携帯・・・?なにそれ・・・何を携帯、してんの?」
栖「は?携帯ですよ・・・・携帯電話」
神戸「はあーー?お前なに言ってんの!電話とかどうやって持ち歩くんだよ!あんな大きいもの」
栖「・・・・・・・」

俺は・・・・・・さっきまでお父さんのアルバム見てたんだ

神戸「お前、ほんと大丈夫か?どこに住んでるん」

そう・・・お父さんの若いころの写真を、見ていたんだ

栖「え・・・相模大野ですけど・・・」
神戸「んじゃまあそう遠くはないな。電車でここまできたのか?」

1989年の、お父さんとお母さんが写っている写真を見ていたんだ

栖「ここ・・・どこですか・・・」
神戸「えっ・・・相模原だけど。知らないで来たのかよ」


もしかして
もしかして俺は・・・・・・・


いや、そんなことがあるはずが、ない・・・・・

俺は神様に祈る思いで決心して聞いて、みた

栖「あの・・・今平成何年、ですか」

神戸「おい、何言ってんの!1月に平成に変わったばっかじゃねーか。どういう生活してんの」


ーーーーーーーーーーーーー俺の目の前が一瞬グラッとなった
気を失いそうになるくらいのショックに俺は愕然となったのだった


俺は、どうすればいいんだ
この先どうすればいいんだ

明日は待ちに待ったお父さんとのテニスの打ち合いに行くんだ・・・・
ソラにもご飯あげなきゃいけないんだ

栖「俺・・・俺、どうしよう・・・家、ない・・・です」

神戸さんが食べていた手をとめて大きく目を見開いた

神戸「・・・・・・・・・」
栖「・・・・どうしよう、俺・・これからどうしよう」


そして俺はおそるおそる口に出して言った


栖「俺、未来から・・・・タイムスリップした来たみたいです」



つづく


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The thought exceeding a time #2




賢治「んじゃ今日は塾あるから先帰るなー」
栖「ああ、じゃーなー」

達と別れて俺は学校を出ようとすると後ろから気配がして俺は振り返ったら二宮がいた。

栖「・・・・・・なんだよっ」
二宮「べっつにーーーー!?あのさ、昨日の事なんだけどさ・・」
男子生徒「二宮さん!!」
栖・二宮「!?」

二宮がそう言い終わらないうちに同じクラスの奴が二宮に声をかけた

男子生徒「今からちょっと、付き合って」
二宮「えっ・・・・・あ、うん」

・・・・・・・・・

栖「・・・じゃー、俺これでー」

俺はピンときた。
コイツはきっと、二宮の事が好きなんだろうと。
きっと、これから告られるんだろうなと。

二宮「あ・・・うん、バイバイ・・・」

二宮が一転して暗い表情に、なった
しかし俺には関係ない

俺はそそくさとその場を離れたのだった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はガムを噛みながら校門を出て歩く

梅雨に入ったというのが嘘みたいな青空
6月って、好きだ。

これから楽しい夏がやってくるから
お父さんが夏休みに旅行へ連れてってくれるから

俺はポケットから携帯を出す
お父さんからメールは、ない

俺ががっくり肩を落とすと、

二宮「セイーーーーーーー!!」

後ろから大きな呼び声とともに二宮がこっちに向かって走ってきた

栖「はあ!?なんでお前・・・だって」
二宮「うん・・・あのね」
栖「なんだよ・・・なんで追っかけてくんだよ・・・」
二宮「もしかして、怒ってる・・・?」
栖「なんで俺が二宮に怒らなきゃなんねーの。意味わかんねー、うっぜーなあ」
二宮「そうやってテキトーに嫌そうにあしらわないで!」

二宮が珍しくまじめな表情で俺を見る

俺は反射的に顔を、そむけた

二宮「なんでそんなに私に冷たいの。・・・いいかげんわかってるでしょ」
栖「は?なにが」

二宮「セイの鈍感!!バカ!!・・・私はセイの事が好きなんだよ!!!」
栖「・・・えっ・・・」

二宮がこぶしをぎゅっと握りしめ俺を見つめた


綺麗な夕日に包まれ、しばらく俺達は沈黙になった


・・・・・・
二宮が俺の事をそんな風に思ってただなんて俺は本当に気付かなった
二宮の事をそんな風に考えたことももちろん、なかった俺だった

栖「俺・・・・お前の事、なんとも思ってねーよ」

自分でもびっくりするくらい残酷な言葉が出た
そして二宮の表情が暗くなる


二宮「・・・・そっか、わかった・・」

そう言って二宮は俺の前を横切り去っていったのだった。。。。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


時計を見ると夜の8時を過ぎていた
お父さんはまだ帰ってこない

お風呂掃除を終え、洗濯物を取り込み終えた俺は居間で、
撮りためておいたアニメを見ながらコンビニ弁当を食べていた

俺も・・・・そろそろ自分で簡単な料理でも出来なきゃだめだな・・・
そう思いつつ、お父さんが仕事で遅くてご飯作れない時はほとんど出来物の弁当かカップラーメンだった

もし・・・もし母さんが生きていたら・・・・

毎日夕飯作ってくれてたんだろう
毎日、俺が帰ったら”お帰りなさい” って言ってくれたんだろうか


俺はいつも夜、一人になると無性に寂しくなる
朝になって学校いけばなんてことないのに
友達と、お父さんといるときはこんなこと微塵にも思わないのに

心にぽっかり穴が開いたようにむなしく、なる
寂しくて苦しく、なる

まるで


この世で人類が俺だけしか存在しないんじゃないかとさえ、思う

栖「お父さん・・・まだかな・・」

俺は、弁当を食べきらないまま、席を立ち居間を出てお父さんの部屋に入った

お父さんからは、あまり勝手に入るなと言われているけど
寂しくなるといつも俺はここにくるのだった

そしていつものように俺は本棚からアルバムを取り出す
そしておもむろにページをめくった


{1989年、8月、部員のみんなと}

テニス部のみんなで撮った写真だろう
若かった頃のお父さんが無邪気な顔で笑っている
イケメンだ、絶対にモテたに違いない

そしてマネージャーだった母さん


なんて・・・なんて楽しそうな写真なんだろう・・・

栖「母さん、俺、今日初めて女の子から告白・・・されたよ」

俺は独り言のようにボソッと言った

俺は写真に見入っていた

お父さんと母さんの”なれ初め”というやつを俺は知らない
お父さんが照れて恥ずかしがって教えてくれなかったのだった

だけど一つだけ教えてくれたことがあった

それは、

二人にとってかけがえのない友達のおかげ、だと言っていた

二人というのはお父さん、母さんの事だ


恋のキューピットになってくれたその友達がいなかったら
俺は、この世に産まれてなかったんだろうか
それなら俺はその人に感謝しなければいけない・・・

そんなことを思いつつ眺めていたらふとグラッと揺れた

地震だ
なんてことない、そう思っていると

ゴゴゴゴ・・・・・・!!   


あたりが激しく揺れだす

栖「うわ・・・っうわわわ・・・・・・っ!!」

その場でただ慌てふためいていると
激しい音とともに持ってるアルバムの写真から閃光が放たれた

栖「・・・・な!!!!!???」


小説3挿絵2





そして俺は、激しくまばゆい光の中に吸い込まれていったーーーーーーーーーーー




つづく




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